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●2017年1月8日
「エリザベート TAKARAZUKA20周年
 スペシャル・ガラ・コンサート」(Bunkamuraオーチャードホール)

「エリザベート」ガラ・コンサートの夜公演を観ました。
宝塚初演から20周年を迎えた「エリザベート」。今日の人気演目がここから始まったと思うと、感慨深いです。
この日は初演時の雪組メンバーによるモニュメント・バージョン。

一部は、映像を見ながら思い出を語るトークショー。
出演は、前列が一路真輝、花總まり、高嶺ふぶき、轟悠、香寿たつき、安蘭けい。
後列が京三沙、飛鳥裕、五峰亜季、美穂圭子、古代みず希、朱未知留。進行役は久路あかり。
以下、面白かったことなど。(順不同。なにぶん記憶によっているため、間違い、聞き違い等ご容赦下さいませ)

・始めに、冒頭のルキーニの映像が流れる。安蘭けいが「この頃私20代だったんですけど、轟さんも20代だったんですよ」
すると、後方から(美穂さんだったかな)「あの、現役なんで…」。そうか、現役生の年齢のことを話しちゃいけないんだな。
この後、轟悠登場の時「タカラジェンヌに年齢は関係ございません!」

・一路が「嵐を呼ぶ女、一路真輝。そして初演メンバーです。今日も雨が降り寒い日になったけれど、現役時代、私は雨女で、初日に大雪が降ったりもした」と挨拶。
この日のトークは一路が仕切り、高嶺ふぶきが受け、下級生たちは時折コメントしながら拝聴という感じで、こういうところ宝塚らしい。終始和やかな雰囲気でした。

・高嶺ふぶきがフランツの髭の変遷について説明。髭がくるんとなってるのがカイザー髭で、とか。
シシィに扉をバタンと閉められる場面で、前方で観ていたご夫婦のご主人の方が泣き出してしまい「自分の演技が心を動かせているんだな」と思った。
一部ラストの鏡の間の花總まりの美しさを熱く語り「信念も破る!」。この場面の一路、花、自分の並びがすごく良かったと力説。

・一路が、初日に一部が終わり銀橋から引っ込む時、観客がシーンとしてて不安になったと。司会の久路あかりが「本当にすごいものを観たときって声出ませんものね」
一路「あの場面、どうやって引っ込むんだったのか覚えてない」、久路「トートなので、すっと消えたということで」
ナイス進行でした!

・朱未知留の眉が話題に。彼女は下級生だったので、高嶺と並んだとき夫婦にしか見えないと随分言われたそう。
それで例の眉を描くことになった。
上級生がゾフィーを「良かった」と褒めてくれた。エトワール(この時は普通の眉)の後でお礼を言ったら「あんた誰?」と言われた。
皆が「その上級生誰?」「シメさんです」。一同爆笑。

・最初ドイツ語の入った譜面貰ったとき、複雑過ぎて訳わからなかった。
当時「できない」とは言えない雰囲気だった。
銀橋でのトートがルドルフを抱きかかえるようなダンスが大変だった。
ここで久路あかりが「尚すみれ先生が、今回大阪でのトークショーを聞いてて、あれ、歌いにくかったんやなあと後で言ってました」

第二部は、演目の中から歌場面を中心に流れで進行していきます。
今回は扮装はありませんが、それを除けば舞台とほとんど変わらないですね。
何より、一路トートの素晴らしさ!
冷たく、人間味を感じさせない。絶対者の威厳が半端なく、だからこそ「愛と死の輪舞」も泣ける。そして、この歌い方も懐かしい!「最後のダンス」は鳥肌ものでした!
次いで花總「私だけに」。東宝の舞台では絶壁の上で歌っているようで、いつもはらはらするのですが、今回そんなことがなく集中できました。
東宝版での一路シシィの「私だけに」は、強さや決意が強調されていた気がしたけど、花總シシィの時は、この歌に哀しみを感じますね。確固とした自分を持っているゆえに、周囲と折り合えない寂しさ、諦め、孤独。
「パパみたいに」での少女らしさとの落差に泣けるのが花總シシィだと改めて思いました。
狂言回しのルキーニ役は轟悠で、この人の格好良さは特筆すべき!声も素晴らしい低音美声で「キッチュ!」、痺れます。
朱未知留のゾフィーはブランクを感じさせず、現役時代と同じく美声でした。美穂さんのマダム・ヴォルフがさすがの現役感。初演版のパンフを見ると、この役はアンサンブル扱いなんですよね。彼女が下級生だったこともあるでしょうが、歴代演じた方々がこの役を高めてきたのでしょう。
これも久々の高嶺フランツは愛情深い感じのフランツ。花總シシィとの「夜のボート」での互いの温度差が、コンサートにも関わらず出ていて感心しました。
ルドルフは少年時代が安蘭けい、青年時代が香寿たつき。安蘭けいが普段と違い、一生懸命子供の声で歌っていて。
一路と香寿の「闇が広がる」は最高ですね。客席もとても盛り上がりました。
ラストのシシィ昇天シーン。頬をくっつけんばかりの一路トートと花總シシィ。本当の舞台を見終わったように感動的でした。

一度幕が下りた後、一路が「次は30周年を目指して欲しい」と挨拶しました。指揮の佐々田愛一郎氏やオーケストラメンバーと共にカーテンコール。この日限りの初演メンバー復活と言うことで名残惜しそうでした。
これで幕が下りたのですが、観客総立ちの拍手に再度幕が上がり、出演者が中央に集まって。一路「とくに何もないんだけど(笑)」
下りかけた幕が半端なところで止まったりして、上ばかり見ている一路が「幕が気になって…」。
そして最後になんと「さよなら皆様」を舞台と客席で歌ったのです。とてもいい雰囲気で、宝塚の良さを改めて感じました。

写真は、公演グッズのTシャツ(背中)です。小池先生を筆頭に、出演者たちの名前がずらりと並んでいます。