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○2017年2月25日
「戦国時代展 A CENTURY of DREAMS」(京都文化博物館)

京都で「戦国時代展」を観ました。
大阪から移動して、その足で文博に直行。いつもこの辺りをうろうろしますが、入るのは初めてです。

目当ては、東京の「京都展」以来3年半ぶりの「洛中洛外図屏風」(上杉本)。
もともと足利義輝が狩野永徳に制作を発注し、のちに織田信長が上杉謙信に贈ったものといわれています。洛中洛外図屏風の傑作です。
左隻第四扇の公方邸が、明らかに重要な場所、という認識で描かれているようで、目が引き付けられます。
公方邸に向かう行列は、上杉謙信上洛を描いたという説も。
将軍家が使用許可を与える白傘袋や毛氈鞍覆が描かれ、輿には謙信その人かとも思われる貴人の姿。ちょうど今展で上杉謙信の毛氈鞍覆が展示されていることもあり、目を引きます。
今回、解説を見て気付かされたのが、公方邸の周囲に細川京兆家と、細川典厩、和泉守護、薬師寺備後、高畠甚九郎ら家臣団、これと三好筑前(長慶)や松永弾正(久秀)の邸が並んでいること。16世紀中盤の微妙な政治状況が見て取れます。
一方、右隻は第六扇に内裏が公方邸と対比するように描かれ、さらに第三扇を縦に横切るように祇園祭の巡行が描かれています。
下の写真は、右隻第一、二扇の一部分。右上に清水寺、中央に八坂の塔、左側に八坂神社、その下に建仁寺や五条大橋が見えています。
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この「洛中洛外図屏風」始め、今展では山形の上杉博物館や上杉神社、法音寺などから来た上杉家関係作品が目立ちます。上杉家文書や、泥足毘沙門天立像、緋羅紗陣羽織や野点道具(網代提茶箪笥)の謙信公遺愛品など。
合戦図は川中島だけでも数点あって、それも上杉・武田それぞれの側から見た合戦図なのです。
今展で展示されているとは知らなかった東山御物の伝徽宗「秋景冬景山水図」。実は南宋時代の画院画家の作品らしいです。空間の奥行きと広がりが素晴らしい。見られて良かったです。
思っていた以上に展示件数も多くて、ここでも2時間、たっぷり楽しめました。