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○2017年4月
「屏風にあそぶ春のしつらえ 茶道具とおもてなしのうつわ」(後期展示、泉屋博古館分館)

泉屋博古館の展覧会、後期展示。
桜の季節が終わると、この辺りは新緑がまぶしいです。同じ春でも、桜の頃とはすっかり気持ちも変わるのが不思議。

新展示の「柳橋柴舟図屏風」。おなじみ宇治橋と柴舟、蛇籠、水車という古典モチーフ。17世紀に描かれた懐古的な作品だそうです。
宮川長春の遊女図巻が別場面に変わっていて、こたつに入っている遊女たちが描いてある。煙管をくわえたりして寛ぐ遊女。火鉢と違い、こたつを浮世絵で見るのは珍しいかも。
そして、見飽きない「二条城行幸図屏風」。
沿道には行列そっちのけで盛り上がる群衆たち。
鑑賞者の目はどうしても左隻左上の帝の鳳輦に向いてしまいますが、群衆がそうでもないのが不思議なんですよね。絵が画面右上方から俯瞰する構図で、群衆の視線はほとんど斜め前を見ているのみなので、行列と見物客は別々に描かれたのでは、という感想をもちました。
上の写真は絵葉書より(部分)。

このほか面白いと思った展示がいくつか。
まず、「陰陽貝椿蒔絵香合」。イタヤ貝という平たい貝に朱漆を塗り、椿の高蒔絵を施したもの。
大正期、象彦の「三色刷毛目塗雪月花縁高」。お茶席に使う赤、黒、緑の縁高の蓋裏に、雪、月、花を別々に蒔絵したもの。円相のような月の中に「くもりなき月は世界のかがみかな」の句が書かれています。
以前見て気に入った望月玉渓の「白コウ孔雀図屏風」が展示されていました。
金泥や砂子の金地に、雌雄の孔雀が写実的に描かれています。
孔雀は真っ白で神秘的、レースをまとった貴婦人のような佇まい(雄だけど)。牡丹や桜が描かれてるので、これは春の絵だったのだなと分かりました。
今回絵葉書もあったので、喜んで買いました。(下の写真。部分)

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