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○2017年4月
特別展「茶の湯」(東京国立博物館)

東京国立博物館で開催中の「茶の湯展」に行きました。
37年ぶりの開催とのことで、名品が集められています。館内は大混雑で、とくに小さい茶器や茶碗を見るときは毎度行列に並び直さなくてはなりません。
何だかんだ言ってこれだけの人が集まるのだから、茶道人口ってすごいんだな、と思いました。

室町時代の唐物中心から、珠光や紹鴎の侘び茶、利休による大成、そして江戸時代の織部や小堀遠州、近代数寄者と、時代を追って茶道の歴史を俯瞰するものとなっています。
東山御物や厖大な数の茶道具。その中にはこれまでに目にしたものもあれば、初めて見るものも。
たとえば牧谿の「観音猿鶴図」。等伯がこれを本歌として「竹鶴図屏風」を描いています。
隣の玉澗「廬山図」は好きな絵。佐久間将監により裁断されています。なんてことを!と思いますが、これ一幅で掛物として成立しているところを見ると、絶妙な切り方ではあります。根津美術館で裁断前の写しを見たことがあります。
「馬蝗絆」も久し振りですが、鎹を打った姿と裏腹に、爽やかな印象。龍泉窯青磁に混じって展示されている南宋期の「下蕪花入」が、ちょっと見たことがないような美しい色で。
呼び物の一つとして今回、静嘉堂文庫の曜変天目(稲葉天目)が出品されているので、人だかりがしていました。ここのはやっぱり派手。珍しいものではありますが、まるで顕微鏡を覗いているような気分。

場所が違えば印象が違ってくると見え、何度も見たはずの「卯花墻」は、記憶では白っぽい感じだったのが、火色やひびの景色に味わいを感じました。独立したケースなので、全方位から見られるのもいいです。
楽茶碗は、「俊寛」のほか「無一物」「ムキ栗」など長次郎が並びます。私のイメージでは、長次郎は重くて厚い土の塊、だったのですが、思いのほか軽やかで。いつの間にかされていた脳内変換を修正しました。
「破袋」などは、逆に以前見たイメージのまんまの超重量級だったのですが。
利休の「横雲の文」にある「橋立の茶壺」。利休切腹直前、大徳寺に宛てて「この茶壺を誰にも渡さないで欲しい」と依頼したもの。ああ、これがあの、という感じです。銘は小式部内侍の「大江山いくのの道の遠ければまだふみもみず天の橋立」から。
会場内に古田織部の茶室「燕庵」が再現されており、撮影可だったので撮りました。三畳台目で相伴席が付いています。
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ちょうと庭園解放中でもあり、小堀遠州の茶室「転合庵」が公開されていました。
本館で、当麻寺奥院蔵「倶利伽羅龍蒔絵経箱」や、新重文指定の「割高台茶碗」などを大急ぎで見て回りました。