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〇2017年6月4日
六本木開館10周年記念展
国宝《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》修理後初公開
「神の宝の玉手箱」(サントリー美術館)

玉手箱は、もとは櫛や鏡などを入れた「唐櫛笥」が原型なのだそうです。
鏡や櫛そのもの、または化粧という行為が呪術的な意味を持つわけなので、これらを収納するべく作られた箱が神聖視されるのは当然なのかも。
玉手箱というと、私たちは浦島伝説を思い浮かべます。乙姫から渡される箱には文字通り呪力が封入されていて、それは竜宮の生活に適応していた浦島を人間界の時間に戻すものでした。
竜宮伝説の残るという鹿児島・枚聞神社の松梅蒔絵手箱と内容品が展示されていました。

並んでいる手箱はもちろん最上の工芸品。でもそれ以上に用途から来る、ものの性格付けというのが面白いと思いました。
季節の風物のほか吉祥図柄や有職文などの文様が描かれていますが、元々は意匠も手箱の用途と何らかの関係があったのではないでしょうか。
他で読んだ記事によると、例えば「片輪車文」は、乾燥によるヒビ割れを防ぐために水に浸した牛車の車輪というだけではなく、転法輪や蓮華をイメージしており、経箱などの意匠によく使用される、ということでした。

サントリー美術館のシンボルマークの一つといっても良さそうな浮線綾文は、円の中に四つの花文を割り付けたもの。
その「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」が修理後、初のお目見えです。まさに玉手箱と呼ぶに相応しい風格です。
表面に撒かれているのは金粉で、螺鈿の浮線綾文があしらわれています。蓋裏も見せてもらえるそうなので、楽しみです。

下の写真は、5年前の「おもしろびじゅつワンダーランド」のときの浮線綾螺鈿蒔絵手箱(修理前)。
このときは、蓋裏の模様を天井に映し出して、箱内に入った気分が味わえるという演出もありました。