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○2017年6月
「神の宝の玉手箱」2回目(サントリー美術館)

サントリー美術館で再び「神の宝の玉手箱」を見ました。
この日はなぜだかとても空いていて、展示を好きなだけ見ることが出来ました。
混んでないときの美術館って、とても得した気持ち。

「菊慈童蒔絵手箱」なのに菊慈童が描かれず、菊と柄杓、流水でモチーフを暗示する留守文様、こういうの日本文化の面白いとこだなあと思います。
七夕説話と縁が深い(浦島物語とも関係ありそう)「天稚彦物語絵巻」。
いつもサントリー美術館では展示されるんだけど、いったいどんな話なのか。いつか全貌を知りたいです。

修理が終わり、初公開されている「浮線綾蒔絵螺鈿手箱」をじっくり見られました。修理前よりも輝きが増した気がします。
現代の文化財修理は現状維持修理。今回の修理の方法がパネル展示されていました。
なにしろ800年前のもの、拡大写真で見ると細かいキズも見えています。でも時間を超えて、これだけの美しさを保っているのは、長い年月、大事に、大事にされてきたからに違いありません。
この手箱の地の部分は、金粉を蒔き詰めた沃懸地(いかけじ)。密度が濃くて近くで見てもわかりませんが、大量の金粉が使われているそうです。
浮線綾文の部分は、一枚の螺鈿に細工しているのではなく、それぞれが13のパーツから構成されているとか。
遠目に見ると、まるで幾何学文様のように見える(螺鈿の光り方は一枚ずつ違う)のですが、近くで見ると蒔絵の配置や隙間の部分の形が微妙に違っていて、これは人間が作った物なのだ、と再認識します。かえって日本人の手わざの凄さを思い知らされました。 ba5980e0.jpg