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●2018年6月9日
宝塚宙組公演
ミュージカル・オリエント「天は赤い河のほとり」/
ロマンチック・レビュー「シトラスの風-Sunrise-」~Special Version for 20th Anniversary~(東京宝塚劇場)
出演:真風涼帆 星風まどか 芹香斗亜 愛月ひかる 桜木みなと 星条海斗

かつて少コミに連載された人気漫画の舞台化。
現代の女子高生・夕梨が古代オリエントにタイムスリップしてしまいます。 そこで夕梨はヒッタイトの皇子カイルと出会い恋仲になりますが、国と国との争いに巻き込まれてしまい…という話。

長大な原作を一幕にまとめるという荒業。そのためか、ストーリーを追うのにいっぱいいっぱいの印象を受けました。
夕梨の現代に帰れない辛さとか、ここで何をなすべきかという葛藤を描いて欲しいところですが、残念ながらそういうのはなし。人物の気持ちがほとんど掘り下げられていません。
男役のカッコよさだけを追究するんだったら、別にわざわざ漫画原作を持ってこなくても…と思いました。
ヒッタイトの皇太后とエジプトの皇太后の思惑や、愛月ひかる演じるマッテイワザらとの関係が難しくて、途中からかなりどうでもよくなりました。

今回は、真風涼帆と星風まどかの両トップの大劇場就任公演。私は真風はオールバックのほうが似合うと思うのですが、今回は原作ものなので茶髪長髪です。
真風はセリフが聞きやすくて歌も上手いです。筋の通った、強くて優しい皇子を演じていますが、カイルという人物に人間的懊悩がほとんど描かれていないのは、やはり残念です。
星風まどかも出番が多い割にあんまり印象に残りませんね。原作を改変した変な場面、たとえばネフェルティティの寝室を家探しして文書を盗むところなんかが妙に頭に残って、 もったいない感じがしました。
トップコンビ、次の公演に期待したいです。
芹香斗亜のラムセスの扮装が抜群に似合っててカッコよかったのと、桜木みなとの弟ザナンザがいい人を演じて素敵でした。

ショーは「シトラスの風-Sunrise-」。
宙組誕生20周年を記念して、初演時の「シトラスの風」をもとに再構成しています。「シトラスの風」というと私は「花占い」を思い出します。
テーマ曲などはやはり古めかしい感じが否めません。が、逆に言うと、古き時代の宝塚の香りを感じさせるようでもあります。
私が一番惹かれたのは、芹香斗亜が銀橋で踊った「PARADISO」です。 以前「ネオ・ダンディズム」で見て以来の曲でしたが、これが彼女の荒っぽい魅力に似合ってカッコよかったです。

終演後、新トップスター真風涼帆の挨拶がありました。