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●2018年11月26日
「吉例顔見世大歌舞伎」(歌舞伎座)

歌舞伎座の千秋楽昼の部に行きました。
なんと、あろうことか用事が入ってしまい、一幕目の「お江戸みやげ」を見逃してしまいました。楽しみにしてたのに…。
二幕目は新歌舞伎十八番の内「素襖落」。
狂言がもととなっている演目で、大名の使いをした太郎冠者がしこたまお酒を飲んで酔っ払い、門出に素襖を貰ったはいいが、大名と同輩に隠されたりしてからかわれる話。
太郎冠者役の松緑が本当に酔っ払ってるように見えるところといい、話をせがまれて那須与一を熱演するところといい、また、ちゃっかりとお土産貰っちゃうところといい、滑稽な可愛げが全開でした。
あー、酔っ払いあるある、と納得です。
笑也の姫ご寮が美しく、お付きの巳之助と種之助はいい声で酒を注ぎます。
大名のところに帰ってからは、大事な素襖をめぐって取ったり取られたりするさまを、面白おかしく大名役の團蔵らと三人で踊ります。楽しかったです。

最後は「十六夜清心」。
廓を脱走した遊女十六夜、いろいろあって追放された僧侶清心の話です。
二人は川に一度は身投げしますが、十六夜は通った舟の俳諧師白蓮に助けられ、清心は水練が達者だったため岸に泳ぎ着いてしまいます。
その後、悪心を起こし人殺し、強盗までしてしまった清心と、実は盗賊だった白蓮の妾になってしまった十六夜が再会するところで終わります。
正直言って、菊五郎の清心が始めから悪そうに見え、悪に転換する「一人も百人も同じ」がインパクトないのですよねえ。それどころか、ここに来るまでにすでに一人二人殺しているみたいだったし笑。菊五郎だったら、たとえばいがみの権太のごとく、悪人ぽいけど実は善だった、という方が合ってるように個人的には思います。
芝居自体はとても動きが少なく、たらたらたらと会話のみで話が進んでいくので、途中何度か気を失いそうになりました。歌舞伎をよくご覧になる方には見どころがたくさんあるのかも知れないけれど、私みたいにほんのときたま観に来る通りすがり的観客には、ちょっとキツイ…。
むしろ、この再会後、お話がどう展開するのか興味が湧きました。