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●2018年12月15日
宝塚宙組公演
本朝妖綺譚「白鷺の城」
ミュージカル・プレイ「異人たちのルネサンス-ダ・ヴィンチが描いた記憶-」
出演:真風涼帆 星風まどか 芹香斗亜 凛城きら 愛月ひかる 桜木みなと

宝塚の貸切公演を観ました。
今回は1幕目がレヴュー。陰陽師・安倍泰成と妖狐・玉藻前が、対決を繰り返しながら惹かれ合うというストーリー仕立て。
月組の「BADDY」などはショーをストーリー仕立てにするのが成功してたと思うけれど、今回のは私はつまらなかったです。各場面が独立して成立できていなくて、面白くない場面もあったしテンポの悪さも気になりました。
レヴューは理屈抜きに楽しめる華やかなのが好みですが、今回のは集中して考えることを強いられてるようで嫌でした。

芝居は「異人たちのルネサンス」。レオナルド・ダ・ヴィンチの幼い日の恋。ある日その娘カテリーナが突然いなくなり、成人したのち巡り合ったのが、レオナルドの仕えるメディチ家当主の愛人としてだった、という話。
事前にポスターや映像を観て、ほとんど期待してなかったのですが、観てみるとこれが意外と面白かったです。
ストーリーはしっかりと考えられていて、とくに後半、偶然と必然が重なって展開していくのが、シェイクスピアの悲劇ぽくてよかったです。
星風まどか演じるカテリーナが、愛月演じる司教に「罪」の観念を刷り込まれて心を閉ざしてしまっているところ、それを放っておけなくてなんとか彼女に関わろうとする真風のレオナルド。二人の関係が丁寧に掘り下げられているので、お話の先が気になりました。
一方で物足りない部分もあって、せっかくの真風レオナルドが魅力的に描かれていないのがつくづく残念でした。
彼女の場合、こういう話だと真面目すぎる感じになってしまうので、もっと理想家で芸術家ぽいエピソードを入れたほうがよかったのでは。作中で「翼」とか「自由」というキーワードを使っているし、実際にレオナルドは飛行機の設計図なんかも残しているのだから、レオナルド自身の自由な魂を描いて欲しかったです。
これに対し、メディチ家当主ロレンツォ役の芹香斗亜が生き生きして素敵でした。彼女の魅力はなんといっても神経質でないところ(笑)だと思うのです。ハンサムでしたたか、自身の野望に忠実、自分の決めたことは全部正しいに決まってる。この華やかでチョイ悪的持ち味が全開でした。
そういえば、みなと演じる弟ジュリアーノが陰謀によって斃れた時、あんなに弟をないがしろにしてたくせに、芹香ロレンツォが思い切り動揺した表情をしてて、あ、この人案外弟を愛してたんだ、と思えたのが新鮮でした。
このほか狂信的な役が最近すっかり板についてきた(笑)司教役の愛月が大物感あったし、レオナルドを慕って忠誠を尽くす少年の役かと思いきや、あっさりお金に転んでしまう少年サライ役の天彩峰里が良かったです。
ラストは予想した通りの展開で、やっぱりここにつながるんだなと。ある意味予定調和的で、落ち着くべきところに落ち着いたという感じでした。

最後に短いショーがありました。
ロケットの帽子と衣装が可愛かったです。男役の群舞で、激しい動きで芹香の髪が乱れるのをかきあげるのがカッコよくて印象に残りました。
終演後、トップ真風の挨拶がありました。