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○2019年4月19日
「ウィーン・モダン  クリムト、シーレ世紀末への道」(国立新美術館)

ウィーン・モダン展の夜間開館に行きました。
日本とオーストリアの国交樹立150周年を記念した展覧会です。
150年前というと、オーストリア=ハンガリー二重帝国の時代。時の皇帝は舞台「エリザベート」でもおなじみのフランツ・ヨーゼフ1世。
本展では18世紀中盤のビーダーマイア時代から、フランツ・ヨーゼフ時代の様々な改革によって、近代都市ウィーンが発展していく過程がうかがわれます。
フランツ・ヨーゼフ1世は、もと市壁に囲まれた都市だったウィーンの市壁を取り払い、近代的な都市計画によって現在につながる形に改造し、同時に文化都市としての形を整えます。都市計画図面や建築図面、デザイン画から、その綿密な計画性がうかがわれました。
皇帝フランツや皇妃エリザベートの肖像画もありました。エリザベートの死後描かれた、皇帝の執務室の絵では、壁にエリザベートの肖像画が掛かっており、「夜のボート」の皇帝夫妻を思い出して目頭が熱くなりました。

ウィーンの歴史だけでなく、ファッションや音楽、インテリアなどに至るまでとにかく多面的な展示で、ゆっくり見ていると時間が足りなくなるほどでしたが、絵画でいうとやはり世紀末絵画にスペースが割かれています。
中心はやはりクリムト。
寓意画やポスター、素描などが並ぶ中で、「エミーリエ・フレーゲの肖像」が目を引きます。エミーリエが28歳頃の肖像画ですが、ブティックを経営するなど、社会的な制約が多かっただろう当時のウィーンで、彼女は先進的な女性だったのでしょう。この絵の生き生きとした眼差しやポーズ、ファッションからもそのことが見て取れ、その点やはりクリムトの表現の力を再認識させられます。
この絵のみ撮影可となっています。