◆2019年5月18日
「傑作ミステリーアンソロジー 京都迷宮小路」(朝日文庫)

京都を舞台にした競作ミステリー。
顔ぶれは、浅田次郎、綾辻行人、有栖川有栖、岡崎琢磨、門井慶喜、北森鴻、連城三紀彦。

それぞれに持ち味を生かした短編になっています。たとえば浅田次郎「待つ女」。過去を絡めた怪談仕立ての小説。怖いです。
そういう意味では、男女のどろどろを描いた連城三紀彦「忘れ草」も怖い。妻の独白体になっていて、情念を感じさせる。
有栖川有栖はいつもの新本格というよりミステリー論、蘊蓄系。岡崎琢磨、門井慶喜はライトノベル風。綾辻行人は…わけ分からなくて、それが怖いともいえる。

私が一番面白かったのは北森鴻「異教徒の晩餐」ですかね。今は寺の作男になっている元闇社会の男が、知合いの新聞記者に頼まれていろいろ調べているうちに事件に巻き込まれて…という美術ミステリー。表のよそ行きの顔だけじゃない、狭い京都という街の裏側に、いかにも何かがありそうで。
どれも京都だからこそ成立するお話で、その意味で京都はやはり特別な場所なのだ、と思います。