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◯2019年9月7日
「奥の細道330年 芭蕉」(出光美術館)

芭蕉が奥の細道の旅に出て330年だそうです。
芭蕉の自筆の発句や画賛、旅の風景を描いた旅路の画巻、蕪村の奥の細道図などが展示されています。

芭蕉以前の俳諧は滑稽性を帯びた「俗」の文学であったものが、芭蕉によって「雅」に高められたといいます。
高校の教科書で奥の細道(いまは「おくのほそ道」と書くらしい)を習いましたが、その頃は名文といわれる文章にもなんの感動も見出せず、ただただ言われて暗記させられるばかりでしたが、今改めて眺めてみると、構えた中にも芭蕉の心意気や古への追慕が感じられる気がします。
紀行文に俳諧を混ぜ込むのは、文学史的には伊勢物語などの歌物語に連なるものなのでしょうか。そのようなことも調べてみたいです。

今展では芭蕉だけでなく、関連する蕪村の奥之細道図、仙厓や小杉放菴の作品も展示されています。
奥之細道図が面白いと思いました。
奥の細道本文と俳画を組み合わせたもので、字体も画風もかなり崩してあって飄逸な趣を出しています。
よく鳥獣戯画が現代の漫画の元祖ということが言われますが、直接的に漫画の源流と思われるのは、この辺りなのではないかと私には思えます。

かねてより興味を持っていた西行物語が展示されていて、これが嬉しかったです。出光美術館所蔵で、絵が俵屋宗達の美しい大和絵、書が烏丸光廣。
伝西行の中務集。これは正方形の枡形本でした。講演で、オリジナル奥の細道も枡形本だった、と聞きました。この辺りにも、芭蕉の古の雅文学への思いが見て取れるような気がします。