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○2021年4月
「ミネアポリス美術館蔵 日本絵画の名品」(サントリー美術館)

室町絵画、大和絵、狩野派、浮世絵、琳派、南画まで、室町から江戸絵画の有名絵師の名がずらりと並び、しかも非常に状態のよいものが揃っています。
中には美術展であまり見かけない藝愛や雲谷等顔、熊斐の作品も。
明治以降、多くの日本絵画が国外に流出しましたが、ここの美術館のコレクションもそうなのでしょうか。屏風絵や襖絵が多いとも感じました。

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私的に一番目を引かれたのは、狩野山雪「群仙図襖」。
杖を持った鉄拐仙人、横笛を持つ韓湘子、剣を背負った呂洞賓。蓮の花を持ってるのは何仙姑かと思いましたが、ひげが描かれているのが…?
第一扇で蛙と戯れているのは蝦蟇仙人ですね。
この襖絵は元々妙心寺天祥院にあり、「老梅図」と表裏だったとのこと。一見すると老梅図ほどの奇怪さはないですが、樹木や岩などに山雪らしい造形感覚が垣間見られる気がします。
その隣の「雲門好日図」は遠近感が強調された精緻な絵ですが、画面手前両端に現実にはあり得ないような岩山が描かれています。
タイトルから察すると、「日々是好日」で有名な僧雲門の寺院と、その門前に佇む僧を描いているのでしょうか。
山雪の絵の一つ手前には、伝狩野山楽「四季耕作図襖」。元大覚寺正寝殿竹の間の襖絵です。非常に巧みに描かれていて見飽きません。

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西行物語屏風 八上王子「待ちきつる八上の桜」の場面

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紫式部図
このほか、大和絵の西行物語屏風、渡辺省亭の紫式部図、細川林谷の文人画などが印象に残りました。
三畠上龍という画家は初めて知りましたが、「舞妓覗き見図」という極めてインパクトのある絵がありました。四条派風にあっさり付け立てで描かれた背景に、どぎついタッチの丁稚と舞妓。これは一体どういう絵なのでしょうか。