◆2015年6月
「有頂天家族 二代目の帰朝」(幻冬舎)
森見登美彦
「有頂天家族」シリーズの二作目です。
狸たちが師と仰ぐ、天狗の赤玉先生の二代目が帰国したことを発端に起こる、狸界の騒動を描いています。
面白いといえば面白いのですが、一体どこがと言われるとうまく説明することができません。あれれ、どこが面白かったんだっけ?
一つは、登場する狸一匹一匹のあまりの人間臭さ。欲深だったり無鉄砲だったり堅物だったりと個性豊か。しかも何かというと旦那衆ぽい寄合や派閥争いまであって、いろんなバランスの上に成り立っている狸社会は、人間社会と同じく大変そうです。
もう一つは、舞台となっている京都という街の特性でしょうか。
人間と狸が互いにうまく暮らしている、そして北白川の下宿に年老いた天狗が住んでても、狸が人間に化けて繁華街を歩いていても、そんなに不思議ではなさそうな街。
勝手なイメージで語って京都の人には申し訳ないけど。
今日は6月30日、夏越の祓。写真はとらやの「水無月」です。
(2015年-21冊目)