○2016年3月20日
「ほとけの教え、とこしえに 仏教絵画名品展」(根津美術館)
仏教絵画といっても私には、脇侍や持ち物から、お釈迦様だなとか弥勒菩薩だな、ということがせいぜい想像できる程度です。仏像や仏画は、それそのものが信仰対象としての長い時間の集積があり、このような美術館で、どのように見るべきものか考えさせられるところです。
本展では、わが国が大陸から受容し、または国内に流布した時期とともに、その信仰世界を表す仏画や曼荼羅を展示しています。
中尊寺伝来という、平安後期の大日如来像に目が釘付けでした。華麗豪華な衣の装飾、顔の微妙な色合いまでが、何百年を超えてはっきりと残っており、存在感が半端なかったです。
「兜率天曼荼羅」は、グリーンの床や建物一面に截金模様が施されていて、とくに御堂の中の弥勒像と宝冠から光が迸る表現になっています。何となく弥勒菩薩は一人で修行しているような気がしていましたが、兜率天とはこんなに仏様がたくさんいるところだったのか、と思いました。
垂迹画では、春日社の社殿と背景に御葢山を鳥瞰的に描き、上方に本地仏を描いた春日宮曼荼羅など。そういえば最近美術館で、よく春日信仰に関わるものを見ます。
美術館所蔵の「那智瀧図」の展示は今回なかったです。
二階展示室では「旧竹田宮家のおひなさま」「春情の茶の湯」。龍泉窯の青磁輪花鉢など。ここには青磁の優品が多いです。