〇2023年8月
「しりとり日本美術」(出光美術館)
出光美術館には珍しい、夏休み向けの企画ものという感じです。
ここでいう「しりとり」は、日本美術特有の、継承され共有される図案や意匠、題材、イメージのこと。
日本文化の特徴である「本歌取り」などもここに含まれるのだと思います。
最初のコーナーでは抱一の「風神雷神図屏風」、等伯の「松に鴉・柳に白鷺図屏風」などで、屏風の曲、扇などの解説。
二つものコーナーは「水のかたち」。常信の「波涛水禽図」など。
三つ目のコーナーは勝川春章「美人鑑賞図」に出てくる様々な意匠に共通する意匠の展示。
山本梅逸の「四季花鳥図屏風」が目を引きました。
狩野派などの型にはまった描き方と異なり、鳥たちがいまにも動き出しそうに生き生きとしています。
描き方は写生画ふうで付け立てなども散見し、円山派、四条派ふうなのですが、背景の樹木や植物が過剰なまでに描きこまれていて、それぞれの祖である応挙や呉春の絵とは雰囲気が違います。その違いがかえって面白いと思いました。
他にも梅逸の作品「布曳飛瀑図」があったので、戻って改めて眺めました。こちらは実見した風景を後から描いたもののようで、荒々しく見える筆致がこれも独特です。