◆2023年10月
「あなたが誰かを殺した」(講談社)
東野圭吾
最近の東野圭吾作品の多くは、重めのヒューマニズムや社会問題が前面に出過ぎているか、または軽めのエンタメ小説のどちらかが多くて、新刊が出るたび、またか、と感じがしていました。
もちろん社会派は著者の真骨頂であるし、著者のユーモア小説も嫌いではないのですが。
今回はそのどちらとも違い、初期のように、純粋にミステリを楽しむことのできる作品でした。
別荘地で起きた連続殺人事件の謎に加賀恭一郎が挑んでいます。
加賀ものといっても、10年前に出た「祈りの幕が下りるとき」のような重い作品ではなく、20年ほど前の「私が彼を~」「どちらかが彼女を~」に近いです。
口絵に別荘地の見取り図があり、これが謎のカギの一つなのかな、と期待を抱かせます。
別荘地の住人達-いずれも癖のありそうな人ばかり-が登場して、和やかなパーティが事件に発展していくさまが描かれます。
別荘の住人達は、記述を読んでも私にはなかなか顔が思い浮かばず、その意味では現実感が薄いです。その辺りも、著者が今作では人間味を描くのではなく、純粋にミステリを描こうという意図が伝わってきます。
満を持して加賀が登場し、事件の謎を解いていきますが、このくだりはとても面白かったし、お話の展開も最後まで飽きさせませんでした。
「あなたが誰かを殺した」(講談社)
東野圭吾
最近の東野圭吾作品の多くは、重めのヒューマニズムや社会問題が前面に出過ぎているか、または軽めのエンタメ小説のどちらかが多くて、新刊が出るたび、またか、と感じがしていました。
もちろん社会派は著者の真骨頂であるし、著者のユーモア小説も嫌いではないのですが。
今回はそのどちらとも違い、初期のように、純粋にミステリを楽しむことのできる作品でした。
別荘地で起きた連続殺人事件の謎に加賀恭一郎が挑んでいます。
加賀ものといっても、10年前に出た「祈りの幕が下りるとき」のような重い作品ではなく、20年ほど前の「私が彼を~」「どちらかが彼女を~」に近いです。
口絵に別荘地の見取り図があり、これが謎のカギの一つなのかな、と期待を抱かせます。
別荘地の住人達-いずれも癖のありそうな人ばかり-が登場して、和やかなパーティが事件に発展していくさまが描かれます。
別荘の住人達は、記述を読んでも私にはなかなか顔が思い浮かばず、その意味では現実感が薄いです。その辺りも、著者が今作では人間味を描くのではなく、純粋にミステリを描こうという意図が伝わってきます。
満を持して加賀が登場し、事件の謎を解いていきますが、このくだりはとても面白かったし、お話の展開も最後まで飽きさせませんでした。