◆2021年12月
「盲目的な恋と友情」
辻村深月
「盲目的な恋と友情」を再読しました。
といっても前回読んだことすらすっかり忘れてて、初読み同然でしたが笑。
前半が「恋」、後半が「友情」の二部構成。
考えてみれば、そもそも恋と友情にどれだけの違いがあるのだろうと。
相手が同性か異性かの違いが両者を分けるのだとしても、その根にあるのは相手への執着以外の何ものでもないのかも。
「恋」は美貌の女子大生蘭花の一人語り。彼女と、自らが所属する学生オケの指揮に来る音楽家の茂実星近との恋愛模様を描いています。
対して「友情」は、蘭花と同じオケに所属する留利絵の一人称で、恋に夢中な蘭花に対する、彼女の思いが描かれます。留利絵の蘭花への一番の友でありたいという執着は、留利絵の幼い時からのコンプレックスと密接につながっています。
二人の語りは表裏一体であり、物事を表側と裏側から見ることで、読者はとくに意識せずとも「事実」のありかをあれこれと想像してしまいます。
ところが二人の主観は必ずしも事実とは限らないし、本人が語らない事実もあるのかも知れない。
叙述トリック的結末はそれとして、恋と友情が絶妙な駆け引きのバランスを保ちながら話が進んでいくところに小説的面白さを感じました。
「盲目的な恋と友情」
辻村深月
「盲目的な恋と友情」を再読しました。
といっても前回読んだことすらすっかり忘れてて、初読み同然でしたが笑。
前半が「恋」、後半が「友情」の二部構成。
考えてみれば、そもそも恋と友情にどれだけの違いがあるのだろうと。
相手が同性か異性かの違いが両者を分けるのだとしても、その根にあるのは相手への執着以外の何ものでもないのかも。
「恋」は美貌の女子大生蘭花の一人語り。彼女と、自らが所属する学生オケの指揮に来る音楽家の茂実星近との恋愛模様を描いています。
対して「友情」は、蘭花と同じオケに所属する留利絵の一人称で、恋に夢中な蘭花に対する、彼女の思いが描かれます。留利絵の蘭花への一番の友でありたいという執着は、留利絵の幼い時からのコンプレックスと密接につながっています。
二人の語りは表裏一体であり、物事を表側と裏側から見ることで、読者はとくに意識せずとも「事実」のありかをあれこれと想像してしまいます。
ところが二人の主観は必ずしも事実とは限らないし、本人が語らない事実もあるのかも知れない。
叙述トリック的結末はそれとして、恋と友情が絶妙な駆け引きのバランスを保ちながら話が進んでいくところに小説的面白さを感じました。